徒然なる日条(平成16年8月〜9月分)

2004年08月01日
歌舞伎三昧に明け暮れているうちに、早くも八月。読書もまた中断してしまったし、DVDもまだ未視聴のものも多い。今月は少しじっくりと腰を据えて読書とDVD鑑賞をしないと溜まってしまう一方である。と言いつつも、今月もしっかりと恒例の納涼歌舞伎は初日の第三部を予定している。

だが肝心の夏休みが何ともはや少ない。昨年が10連休だったから、余計そう感じるのだろうか?会社の所定の休みが土日にぶつかっているから、実質1日だけ。さすがに相手先が休みだから、2日程度は休暇を取る予定だが、業界が異なるとこうも条件が違うのか?
2004年08月03日
案の定八月に入ったら、集中力が途切れたのか、昨日あたりから急に疲労困憊で、昨日はこの日記も書く気がせず、早々と寝に就く。それでも今日はまだ疲れが取れず、電車に乗ると寝てばかりで、またもや下車駅を乗り過ごす(>_<)。これでは仕事は…(以下略)。

たしかにたびたび書いているように、睡眠時間が以前から比べると格段に短くなっている。ましてや今年の猛暑、浅い眠りばかりである。疲れが溜まって当然か。早速今日は特効薬の鰻をまたもや食べたから明日は少しは持ち直すか?やはり土用の丑の日というのは、ちょうど夏の疲れが溜まる頃にうまく設定されていて、疲労回復の生活の知恵のようなものを感じる。

とにかく今年の夏が暑いのは記録的で、6月以来の平均で東日本は平年を1.9度も上回ったとか。二つの高気圧に挟まれたためとは言うが、かたや豪雨による被害も多発していて、昨年の冷夏からみれば同じ夏とは思えない。今週末も猛暑の予報。早く休みが来〜い。
2004年08月04日
相変わらず低空飛行。昨日の特効薬もやや効き目が薄かった。それでも徐々に回復して来ているので、今日はもっぱらビデオの視聴で過ごす。また、久し振りに「クラッシック音楽の森」を更新して、先日視聴したアバドのヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』を追加した。

こういう時には肩の凝らないものがいい。そうなるとオペラはロッシーニやモーツアルトになってしまうので、いくらなんでも長過ぎる。そこで勘九郎の『高坏』を観る。これは父勘三郎の十八番を受け継いだ歌舞伎には珍しいタップダンスまがいの楽しい踊り。狂言仕立てで、酒を飲む高坏を買ってくるよう命じられた次郎冠者が、騙されて高足を買わされて、酒を飲んだ挙句にその高足で踊るという趣向。酔って高足で踊る姿はなんとも楽しそうで、観るものもウキウキして一緒に踊りたくなる。高足での踊りも器用なものである。これには観客も沸いて当然である。
2004年08月05日
ようよう体調が旧に復してきた。そうなると現金なもので、早速明日は飲み会を約束。

昨日に続いて、また歌舞伎のDVD鑑賞。一番の回復剤である。最近は有難いもので、最新の舞台もスカパーで放送される。ある方のご好意でその映像を観られる訳だが、生で観て観劇記を書いたものを映像でじっくり観ることはいい勉強になる。映像は臨場感には欠けるものの、自分の見落した点も随分あることに気がつき、冷や汗をかくこともしばしばである。繰り返し観ることにより、その舞台の理解がより深まるようだ。

だが、それにつけても今さらようだが、歌舞伎役者は世襲制で門閥主義。一門に生まれなければ、いくら実力があっても上には行けない。勿論、養子や、部屋子と言って、子供扱いとして取り立てられる道もないことは無いが、難関である。その前に修業がまず大変。国立の研修生制度もあり、かなりその卒業生も輩出しているが、名題という幹部にまで昇進するまでは並大抵ではないようだ。

しかし、先月の歌舞伎公演で活躍した澤瀉屋一門の若手は殆どその研修生から猿之助が抜擢して育ててきた役者ばかり。彼の慧眼には敬服する他は無いが、まだまだ歌舞伎界全体では少数派。今回の舞台を契機にもっと古典歌舞伎で活躍での場を与えてほしいものである。
2004年08月07日
昨夜は短時間だったが、気持ちよく飲んだためか、心地よく酔い、帰宅したらうたた寝をしてしまい、気が付いたら真夜中(^^ゞ。で、またもや日記はお休み。

今日は土曜休日だが、出勤。仕事もそうだが私用もあり、別の日に振り替えてもらった。もっともその日に急に歌舞伎観劇が入ってきたためだから、少々気が引ける。最近はお仲間の方からもいろいろ情報が入ってくるから、意外なところでチケットが手に入る。

もうお盆休みに入って会社も多いのだろう、電車も空いているうえ、背広姿の勤め人も少ない。こんな日に仕事に出てもどうもやる気もおきないから、机の片付けなどの雑務とPCで終わる。

帰宅時にどうも雲行きがあやしいと思ったら、自宅近くに来て、激しい夕立!お蔭で随分駅で雨宿りさせられた。今日と明日は恒例の地元の盆踊り大会。夕立で人出も今一つだったようである。その分いくらか涼しくなったようだ。明日も一日雑音で悩まされそうである。
2004年08月08日
今日もマンション前の広場は、盆踊りの出店で午前中から賑やか。早々に逃げ出して、図書館に籠る。お盆休みで空いていると思ったら、逆に行く場所が無い人たちが涼みがてら来館しているのか、いつもと変わらぬ混み方。考えることは皆同じ(苦笑)。それでも何とか座る場所を確保して、久し振りに読書に没頭。と言っても固いものは疲れるから、この前から読み始めた山田風太郎忍法短編全集から第4巻『くの一死にゆく』を読み上げる。

愛好している風太郎の小説群のなかでも、忍法帖シリーズはもっともポピュラーなもの。昭和30年代に一大ブームになった。だが当時中学生だったから、関心はあっても覗いてはいけない、いわば禁断の書、ポルノグラフィーのような感じを受けていた。くの一などという言葉も妖しい響きがあったものだ。ところが実際に読んでみた時には随分異なった印象を受けた。作者の天才とも言うべき奇想に驚嘆したのである。たしかに性を扱うことが多いが、陰湿なものではない。それはやはり作者が医学を学んだことが大きいのであろう。種々様々に繰り出される奇怪な忍法は、まさに人間の全ての器官を解剖する趣がある。

この短編集も風太郎の面目躍如の作品揃いで、全て題名に試合がついている。伊賀・甲賀に根来まで絡んでくの一を中心に忍法合戦を展開する。しかもそこには、松平伊豆守、由比正雪、田沼意次、平賀源内など時代小説にお馴染みの面々も登場して、奇想天外な話が次から次へと続き、あっと驚かす。また、鄭成功など歴史にしっかりと根を下ろした話が多いから、荒唐無稽だが、いかにもありそうだと納得させるものある。やはり風太郎恐るべしである。
2004年08月09日
世の中は大分夏休みモードのようで、今朝の通勤電車も心なしかいつもより空いてきたように思う。そんな時に外回りをしても相手先が休みではどうしようもないと思うのだが、やはり成果が出ていないと休み難いのも事実。しかし、この酷暑、長めの休みを取らないと、体が持たない(T_T)/。今週後半に休めるよう何とか算段しなくては…。

仕事の合間を縫って、岡本綺堂『半七捕物帳』と井上靖『風濤』を読み始めた。どちらも再読。前者は言うまでもなく、今も古くて新しい捕物帳の最高峰。短篇集だから、好きな話を短時間で読めるのが嬉しい。後者は、これまた作者の歴史小説の代表作。いわゆる元寇を、元の世祖フビライに命じられて日本侵攻の尖兵とさせられた高麗の側から描いたもの。その悲惨な運命は読むたびに粛然とする。歴史と小説が渾然一体となった詩情溢れる文体にも強く惹かれる。
2004年08月10日
八月納涼歌舞伎の初日の観劇。毎年恒例の中村勘九郎を中心とした座組みでの三部制興行である。今日も横浜での仕事のため、五時ダッシュで飛び出して、ちょうど午後六時の開演ギリギリに滑り込む。お仲間の方が取ってくれたので、三階席の真ん中最前列で、舞台全体をよく見渡せる絶好の場所である。

第三部は『東海道四谷怪談』の通し。先月の『桜姫東文章』に続く、鶴屋南北の大作である。ただ、全部やるとあまりにも上演時間が長過ぎるので、三角屋敷の場を省いている。これだと主役の一人である直助権兵衛の描き方がやや中途半端で残念だが、お岩と伊右衛門の主筋はよく分かるので、時間の関係で止むを得ないであろう。それでも初日ということもあって、時間が押して、終演は午後10時を回っていた。

勘九郎は、お岩、佐藤与茂七と小仏小平の三役を早替りで勤める。相変わらず見事なものであるし、とくにお岩は憐れさと、幽霊になってからの怨みを十分描き分けていたと思う。ただ、4年前に上演したこともあるのだろうか、やや手馴れ過ぎていて、安心して観ていられる反面、初日にしては緊張感が無かったかもしれない。それは橋之助や三津五郎など他の出演者にも言えるであろう。

戸板返し、燈籠抜け、幽霊の宙乗りなどのけれんも見所で、楽しめた。ただ、回り舞台で舞台装置が一部破損するハプニングもあった。これも生ならではの面白さである。やはり初日と千穐楽の観劇はファンにはたまらない醍醐味がある。

帰りがけに通り道だからと楽屋口を通ると、出待ちのファンの人だかりの間を早くも三津五郎、染五郎、弥十郎などが次々に帰っていった。お目当ての役者がいたお仲間の方は大喜びだった(*^_^*)。
2004年08月11日
今日はさらに通勤電車が空いてきて、途中から座れるほど。相手先企業も休みが増えているので、明日から夏休みを取っていいとの上司のお言葉\(^o^)/。ついでに月曜までと言ったら、少しちくりとあったが、そこはもう届けを出した方が勝ち(^^ゞ。結局五連休の夏休みを確保出来た。やれやれ(^_^;。

さて昨年と違ってあまり綿密な予定を立てられない。とりあえずゆっくり体を休めて、少しぼけ〜としたいから、もしかすると日記の更新はさぼることもありうる。だが、思い返すと昨年は…、そして今日は…。
2004年08月12日
夏休みの日条(第一日目)

今日から夏休みと思ったら思わず寝坊。家人から休みだからと言って、だらしない生活をしないように、との厳命。そうは言っても今日は少し休養したく、久し振りに「高井戸温泉 美しの湯」に行くことにした。よく考えたら、昨年の夏以来だから一年振りであった。

行ってみると、平日料金(800円)はそのまままで、時間が3時間から5時間に延びていた。これはゆっくり出来る時間で有難い。まだお昼過ぎで、それほど混んでいない。やはりチョコレート色の温泉は体に滑らかで気持ちがいい。またジェットバスも疲れた腰にきく。たっぷりと堪能してから、軽く飲みながら、遅めの昼食。後はお決まりのシートでゆっくりと読書兼昼寝。かれこれ二時間寝て、もう一度温泉につかってから、帰宅した。お蔭で随分体が軽くなったようだ。

今日で東京は連続真夏日が38日で、95年の記録を塗り替えたとのこと。あの年の夏も異常に暑かった記憶があるが、今年はそれとは比較にならない暑さを感じる。一体どこまで続くのだろうか?
2004年08月13日
夏休みの日条(第二日目)

今日は久しく映画を見ていないので、涼みがてらシネコンへ。『キング・アーサー』を見る。伝説の騎士アーサー王を主人公にしたこの映画、西洋の時代劇風で、戦闘シーンも迫力満点。ただ、伝説への自分の理解が今一つのためか、主人公や騎士たちの気持ちに完全には同感できない部分も残った。しかし、130分の間普段馴染みの無い古代ブリテンの世界に浸れたから、たまには劇場で映画を見るのも悪くない。
2004年08月14日
夏休みの日条(第三日目)

いよいよアテネオリンピックが始まった。オリンピックは毎度そうだが、最初は無関心で、だんだん後半になり日本人選手が活躍するとともに、俄か愛国者になってテレビにかじりつくことになる。今回はどうか?

しかも、高校野球もますます熱くなってきた。これではテレビを見てばかりになるから要注意。

ナベツネ辞任!ジャイアンツが不正で揺れている。やったことは言語道断でファンを裏切る行為だから辞任は当然だが、本人が今問題になっているプロ野球1リーグ制移行の推進者だっただけに今後の動きにどう影響するか?怪我の功名で1リーグ制が頓挫すればいいが。

今日はクーラーをいれない暑い自宅で、専らビデオ鑑賞と読書で過ごす。
2004年08月15日
夏休みの日条(第四日目)

昨夜も寝苦しかったが、朝方から恵みの雨。気持ちよい涼しさになり、思わず寝坊。もっとも夏休み中は毎日だが(^^ゞ。

アテネオリンピックは、早速柔道でYAWARAちゃんが金メダルv(^-^)v。続いて野村選手も。二つ連続は快挙。

昨日は大分読書が進み、都築道夫『雪崩連太郎全集』(ちくま文庫)、平岩弓枝『道長の冒険−平安怪異伝』(新潮社)、井上靖『風濤』(新潮文庫)を読了。岡本綺堂『半七捕物帳』(光文社文庫)を少しずつ読み進める。

一時はかなり強い降りだった雨もあがったので、午後からは久し振りのウオーキング。いつも歩く恩田川を今日は下流に向う。歩いて15分で神奈川県との県境に達する。町田市は神奈川県に深く食い込んでいるから、少し歩くだけで横浜市や相模原市に入る。横浜市に入ると、急に住宅街が田園風景に変わる。ここらあたりは水田や梨畑が広がるのどかな一帯。猛暑で稲の生育も順調のようで、一面の青さである。もうまもなく黄金色の海に変わるのであろう。ここで見た懐かしい案山子。地元小学生の体験水田のようで、子供たちが作ったらしく愛嬌がある。
               
2004年08月16日
夏休みの日条(第五日目)

昨日で東京の真夏日の連続記録が止まったと思ったら、今日も朝方はいくらか温度が低めで、風も爽やか。

今日もまた温泉に浸かって、休養と読書の一日。今年の夏休みは結局休養のみで終わってしまった。ただ、これで少しは体を休めて、気分転換が出来たと思う。明日からまた仕事と思うとウンザリするが。

岡本綺堂『半七捕物帳』と井上靖『後白河院』を読書中。『半七捕物帳』はどの話を読んでも、語り口のうまさには魅せられる。起きている事件は怪談めいたものも多いが、今では見られないようなさりげない江戸の風俗を背景に、第一級の推理が淡々と語られる。森村誠一の解説にもあるが、あたかも我々読者が江戸へタイムスリップしたような錯覚を覚えるほどの臨場感がある。全六巻、味わいつつ読みたい。
2004年08月17日
今日から平常勤務、と言ってもまだまだ相手先が夏休みも多く、街もまだ夏休み中の家族連れで賑わっているから、仕事に集中できないこと夥しい。ましてや休み明けでまだ調子が出ないから、今日はちょうど依頼された書類の整理で大部分を過ごす。

帰りがけに行きつけのCDショップを覗いて、最新輸入盤を購入。最近DVDの視聴ばかりだが、これは買わずばならない。今評判の美人ソプラノ歌手アンナ・ネトレブコのアリア集である(DG 00289 474 8002)。伴奏がアバド指揮でしかも珍しい曲もあるので、聞き逃せないのだが、それにしても美人である。いや歌も素晴らしいが、どうも興味がそちらへ行ってしまう。ボンファデッリと言い、最近はクラシックの歌い手も細身で、美形が増えた。しかも、アバドとのツーショットもあり、こちらの管理人さんも気が気ではないようだ。
2004年08月18日
旧盆のお休みが終わったと思ったら、また猛暑が復活。都心では36度もあったらしい。

アテネオリンピックで、日本が出足良く、早くも前回のシドニーを抜く金メダルを獲得。お家芸の柔道の健闘も賞賛されるが、やはり体操で28年振りに世界一に輝いたことは、往時の強さを知る者にとっては感慨深いし、よくぞここまで復活したものと思う。こういう復活は大歓迎である。

それにしてもオリンピックに高校野球、そしてプロ野球とスポーツ好きには時間が足りない毎日。プロ野球は工藤投手の200勝達成が中高年の明るい話題。40歳を過ぎてからのこの偉業。健康管理や体の鍛錬は見習うべきだが、とても一朝一夕には真似出来そうにない。
2004年08月19日
さらに猛暑は続く。一体いつまで?

暑いと人間気が立ってくるのか、今日は二回も大声を出して喧嘩しているのを見た。それも公衆の面前で。

一回目は郵便局で。中年のオバサンが大声上げて局員と警備のオジサンにくってかかっている。何か預金の引き出しで本人でないからと断られたのに腹を立てたらしい。しかし、とにかく大声、それもどう聞いても大阪弁である。東京の人間だったらとてもあそこまでは言えないと思うほど、言いたい放題で罵っている。批判を覚悟で言うのだが、たしかにこういう時は大阪弁は便利なものである。どうやら局員が妥協したようで、何とか納まったようだ。来訪者がみな何事かと回りを取り巻いていたから(自分も含めて)、あれは大声を出した方が勝ちである。しかし、オバサンは凄い迫力であった!

二回目は駅のコンコース。男二人が言い合いになって、あわやつかみ合いの喧嘩になりそうだったが、一人が逃げてチョン。やっぱり女性の方が強い?
2004年08月20日
今日は久し振りに朝から東京の事務所で雑件処理。普段PCを使えないから勤務環境だから、たまに使うとやることが多い。結局お昼過ぎまでかかってしまった。

その後夢玉のお仲間のところに依頼されたものを渡しながら、出向先の事務所に向う。若いお仲間の方の自宅が、その事務所の近くらしいのには驚いた。知らないうちにすれ違っていたかもしれない。偶然の縁を感じる。

10月からまた出向の扱いが変わるらしい。もういい加減にして欲しいと思う。勤め人の悲哀を感じる。そうは言っても前向きに考えるしかないが…。
2004年08月23日
土曜日から体調を崩して寝込んでしまい、ついに今日一日会社を休んだ。病欠は久し振り。五日間の夏休みも体の疲れが取れなかったようで、頚部・肩・腰と急所にみな痛みがある。医者にも休養と睡眠が肝心と言われてしまった。少しPCも押さえなければ…。やはり年齢には勝てない。当分日記の更新もボチボチに。
2004年08月24日
アテネオリンピックも殆ど録画で見ているだけだが、日本選手の活躍は目を見張るばかり。思わずテレビに見入ってしまう。男子体操しかり、女子マラソンしかり。涙腺も緩む。

日本選手活躍の秘訣は強化体制の成功にありそうだが、報奨金も大きいようだ。やはり何事も”金”。
2004年08月25日
これは昨日のことだが、今仕事をしている横浜のレストラン街で昼食後歩いていたら、某社の先輩OGの方にに偶然出会った。入社時から知っていてお世話になった方であり、また社内の有名人でもあった。幸いめでたくご定年を迎えられて、同じ職場でお祝いしてお送りした。

ご定年になられてから、はじめて会ったので、大変喜んでいただいた。在職中よりかえって若々しくなって、とてもお元気そうだった。そう申し上げたら、「やはり仕事していると、疲れるわよ、貴方も早く定年になれば、楽になって好きなことが出来ますよ」とのお言葉。そうなりたいのはやまやまなんですが、まだもう少し働かない訳には…。それにしてもハッピーそうな第二の人生、羨ましい!
2004年08月26日
まだ万全とは言えないが、少しずつ調子を取り戻してきた。暑さも少し和らいできたのも有難い。

こういう時はもっぱら読書。先日来再読している岡本綺堂の『半七捕物帳』は格好の読み物。和製シャーロックホームズの半七が、懐かしい江戸市井の風俗を背景にして難事件に取り組む。歌舞伎好きの綺堂らしく歌舞伎の狂言を題材にした短編も多く(例えば「勘平の死」や「半鐘の怪」等)、歌舞伎愛好者にはとくに楽しい仕掛けが随所に出て来る。全6巻の短篇集は読めば読むほど飽きない面白さがある。
2004年08月28日
台風の影響か、雨模様で気温もぐっと下がり、あの猛暑がうそのような涼しい一日。皮肉にも八月納涼歌舞伎の千穐楽である。

初日に観た『東海道四谷怪談』をもう一度と思ったが、さすがに人気があって完売。そこで今日は第一部と第二部を続けて観劇。八月興行が三部制になって十年以上経ったようだが、勘九郎や三津五郎の奮闘もあって人気はうなぎ登りで、すっかり夏の風物詩として定着した。上演時間も料金も二部制よりも手頃感がある。

第一部は、『元禄忠臣蔵〜御濱御殿綱豊卿』と舞踊『蜘蛛の拍子舞』。前者は染五郎・勘太郎・七之助などの若手が中心。真山青果の傑作をひたむきに演じ、好感を持てた舞台だった。後者は近年蘇演された珍しい舞踊。役者が謡いながら踊る拍子舞が楽しい。大きな蜘蛛も活躍して、古径な味わいがある。勘九郎の坂田金時はご馳走である。

第二部は、まず三津五郎の『蘭平物狂』が目玉。今は彼の当り役。後半の大立回りにどうしても目が行くが、前半の刀を見ると正体を失って踊るところも見所で、踊りのうまさが光る。早世した三代目松緑(初代辰之助)もこの蘭平を得意にして、溌剌とした舞台を見せていたのを思い出した。『仇ゆめ』は、勘九郎の狸が傾城の深雪太夫に惚れる喜劇。滑稽味だけではなく、ほのぼのとした人情味もある。勿論、勘九郎の田舎踊りには観客も大喜びで、手拍子もあった。

今日も何人かのお仲間の方とご一緒になったが、九月以降の舞台がいささか淋しいから、当分はお会いする機会もなさそうである。
2004年08月29日
朝からの大雨で一日降り込められる。ちょうどいい休養、読書とビデオ鑑賞も半ば夢見心地。

それでも以前NHKで放送されて、その豪華な出演者と8台のピアノによる演奏に驚嘆した『世紀のピアニストたちの共演』の正規発売のDVD(BMG BVBC31010)は何回観ても、魅了され快感を味わう。

スイス・アルプスの避暑地ヴェルビエで行われた音楽祭&アカデミーの10周年記念のガラコンサートの全演奏が収録されている。今回ブックレットではじめて知ったのだが、会場はテント張りの仮設とか。そうは思えない音の良さ、そしてピアノの打鍵から演奏の表情までを多彩に写したカメラワークも秀逸で、視聴する者を捉えて離さない。

主催者エングストレームの人脈とは言え、よくぞこのメンバーが一堂に会したと思える錚々たるピアニストたち(アルゲリッチ、キーシン、アックス、プレトニュフ、そして大指揮者レヴァインまで等々)の共演に加えて、お祝いに駆け付けたバースデイ・フェスティヴァル・オーケストラがこれまた超豪華メンバー。クレーメル、レーピン、今井信子、マイスキーなど枚挙にいとまが無い。彼らも楽しみながら和気藹々と演奏している。

演奏はどれも聴きものだが、やはり圧巻は8台のピアノによる編曲もの。ロッシーニの歌劇『セミラーミデ』序曲、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』をはじめスリリングな演奏ばかり。演奏者もその出来に満足したような表情が微笑ましい。
2004年08月30日
当初会場の設備から警備まで懸念の多かったアテネオリンピックも無事17日間の日程を終えた。多くのドラマがあり、日本中が一億総睡眠不足と言われるほど、日本選手の活躍は目覚しかった。金では東京オリンピックに並び、メダルの総数では新記録という。自分は夜間の生中継は見なかったが、見たらきっと最後まで見てしまったであろう。それでなくとも睡眠不足、危ないところだった。

しかし最後にハプニング。一つはドーピング問題で室伏選手が金メダルに繰り上がったのだから、若干後味は悪いがまずはご同慶の至り。ところが男子マラソンのブラジル選手は、妨害にあって、それでもめげずに銅メダル。本当は金メダルを取れたはずのレースだったのに、その後の言葉がすがすがしい。まさに敗者の美。

猛暑の今年は高校野球が終わっても暑さが続いたが、これで本当に暑い夏は終わるか?しかし、予報では残暑も厳しそうである。やれやれ。
2004年08月31日
台風の影響で、思わぬ突風と残暑に悩まされた一日。

エイベックスと言えば、浜崎あゆみはじめ多くの人気歌手を抱えて、マスセールスを記録する会社。先日の役員の軋轢をめぐる一連の騒動も記憶に新しい。クラシック音楽中心にしか聴かない自分にとっては今までまったく縁の無かった会社だ。

ところがこの会社がクラシックのCDも出しているのである。ア−ティストとしては中村紘子がもっとも有名であろう。その他新人の発掘にも力を入れるという。そのエイベックス・クラシックから今度待望のCDがリリースされた。曽根麻矢子の『シャコンヌ』である。

世界的なチェンバロ奏者の故スコット・ロスの愛弟子である彼女の演奏は、一度生演奏を聴いてから、その繊細かつ爽やかな音に魅了されて、一度にファンになった(勿論、美人でもあるし(^^ゞ)。ピアノと違って、羽毛が弦をはじくチェンバロは、とても心癒されるものがある。とくにJ・S・バッハの音楽はもっとも相応しい。今回のCDはそのバッハの有名作品ばかり。

今までフランスに本拠を置いて演奏活動していたが、今度はレーベルも移籍して、日本での活動を中心にするようだ。でも、それは出産が契機とか。えっ?いつ結婚?でもまぁこれを機会にどんどんCDを出してくれると嬉しい。このCDもミニライブとサイン会の整理券付きに釣られて、即購入。演奏も期待通り。当分毎日のBGMになりそうである。
2004年09月01日
オリンピックに浮かれているうちに、早九月。だが相変わらず残暑厳しく、まだ八月のような気分。唯一違ったのは今日から新学期が始まり、高校生等で通勤電車が混雑したこと。

書店を覗いたら、ハリー・ポッターの最新刊の発売で、店頭はハリー・ポッター一色。読んでいないから分からないが、上下巻で4200円もする本をそんなに購入する人がいるとは信じられない。ベストセラーを読もうとしないこちらがへそ曲がりだけなのかもしれないが。
2004年09月02日
まっきーさんの日記で愛犬を亡くされたことを知った。今のペットは家族同様、いやそれ以上だから、その悲しみはよく分かるつもりである。早速おくやみのメールを差し上げたが、治療がもう一日早かったら、助かったであろうから、とても悔しかったようである。

今はマンション住まいで犬は飼えないが、学生時代には家族の一員として随分長く犬を飼っていた。一番思い出のある犬は、私というものがありながら、本当に自分が家の長男のように思っていたようだ。とくに父にはよく懐いていたし、また頭が上がらなかった。だから、父が入院すると一緒に病院には行きたがるし、行けば行ったで帰ろうとしなかった。だから、父が亡くなったことはすぐ分かったようで、自宅での葬式でも吠え声一つ出さずにおとなしくしていたのは、不思議なことだったと今でも思う。しかも、その後めっきり元気が無くなり、数ヶ月後に後を追うように死んでしまった。その時の悲しみは家族を失ったと同様であった。その思い出が強烈で、当分次の犬は飼えなかったものだ。

だが、愛犬家としては、このような心を癒す老後の友・家族として犬を飼いたいという希望は何とか実現したいものだ。
2004年09月03日
アテネオリンピックの影響で、プロ野球もさっぱり盛り上がらない。とくにセは中日が独走に近くなってきたので、熱烈なファンには悪いが、ジャイアンツをはじめ多くのファンが投げやりになってはいないか?

ましてやパが合併問題で揺れているうえ、ファンも選手も反対、ストライキも辞さず、というところまで来ているから、球場の外の戦いのほうが感心が高くなっているのが事実だろう。一体パでもう一つ合併の話が進むのだろうか?

今日のスポーツ報知の報道でも、選手会の合併の仮処分申請が却下されたり、ナベツネがパが四球団になったら、ジャイアンツはパに移籍をしてもいいと言ったという。眉唾臭いが、言いたい放題の労害以外に何物でもない。こういう人間が影で力を持っているのは、球界のためにはならない。
2004年09月04日
今日は楽しみにしていた七月の平成中村座のNY公演の放送があった。大成功だったようで、辛口で有名な劇評家がスパイダーマンより面白いと絶賛したとか。都合で録画したものをざっと観ただけだが、当然ながら演出も現地用に変えていて、大変興味深かった。

資材を日本から運んでリンカーンセンター内に仮設小屋を作ったのは同じだが、制限があった関係で二階部分の客席が無く、替わりに江戸時代の町民を観客として絵を書いているのが面白い。また黒子に外人を使ったりして、多くの現地スタッフの協力に支えられたことも分かる。

最初に簡単のすじや登場人物の紹介を英語でやっていて、少し違和感があったが、後は完全に歌舞伎の浪花の侠客の世界。どこまで現地の観客に理解してもらえたかは映像では詳細に分からないが、幕切れの意外性も含めて、盛大なカーテンコールとスタンディングオベーションで迎えられていた。後日ゆっくり鑑賞するのが楽しみだ。
2004年09月05日
昨夜は史考会の打ち合わせの後帰ろうとしたら、雷を伴う大雨。幸い車を出していただいたので殆ど濡れずに助かったが、危うくびしょ濡れになるところだった。雨は今日の午前中まで続き、結局一日ダラダラと終わってしまった。

そこで一念発起して、懸案の読書に関するリンクを作った(「逍遥の小径」)。
2004年09月06日
昨夜リンク集の「逍遥の小径」を大車輪で急拵えしたためか、相変わらずミスや漏れもあって今日は修正に大童。まぁ、今後も徐々に増強しながら改善して行きたい。

それでも思いがけず多くの反応をいただき、大変励みになった。今回は読書手帖を作ったから、その名に恥じない内容の読書評を書く努力をしなければいけないであろう。それにはまず再三自分でも反省しているが、時間の確保である。う〜ん、PCをいじりだすとこれが思いの外大変であることが最近身し沁みてきた。これから秋の夜長、精々身を入れて読書をしよう。幸いと言おうか歌舞伎は行くけれども、今秋の公演はという目玉が少なく淋しい秋である。

しかし、泥縄とはいえ、そろそろ少しくらい資格試験の勉強をしないと…(と、言いながら、やる気ゼロは困ったものである)。
2004年09月07日
今日は台風の影響か、雲の動きが激しく、晴天と降雨が交互に来て、一日蒸し暑かった。今年七つ目の台風が九州に上陸して、さらにもう一つ日本を狙っているとか。被害が出なければいいが。

加えて二日前に広い範囲にわたってかなり強い地震があったが、余震なのか今朝もまた揺れた。浅間山の噴火と言い、少し天変地異?(大袈裟?)

プロ野球の選手会がついに9月の土日の30試合に限りスト宣言を出した。ファンをないがしろにしているのではないか?という意見もあるようだが、たしかに球団の合併には経営問題もからみ難しい点も多い。しかし、今回の一連の動きはあまりにも選手やファンを無視して一方的かつ性急に進められた。もっとじっくりと意見を聞くべきではなかったか?

不確かな知識で申訳ないが、選手は各球団と契約しているものの、プロ野球協約で統一契約に縛られていたと記憶しているから、選手会はプロ野球組織との団体交渉権は存在すると考えていいと思う。また労働組合としても正式に認められているから、ストを決行した場合でも、損害賠償の問題な起きないと見るべきだと思うが、いかがなものであろうか?

いずれにしても10日の回答期限までに、少しでも建設的な方向に向って話が進むことを強く望みたい。
2004年09月08日
作家の水上勉氏が死去された。松本清張とほぼ同時期に社会派推理小説で作家生活をスタートした氏は、『雁の寺』で直木賞受賞後はもっぱら庶民の哀愁を描いた作品を数多く発表した。とりわけ『五番町夕霧楼』や『越前竹人形』は、私にとっても思い出深い作品で、後世に残る名作であろう。何回も映画化・舞台化された。合掌。
2004年09月09日
飲み助でも無いのに、お酒の話。実は昨夜は所用があって珍しく愚息と都心の居酒屋で飲んでいたのだが、相手は生ビールのみ。こちらは小ジョッキの後は生レモンサワーのみ。今までなら自分もまったく生ビールのみなのだが、やはり年齢のせいかどうも小用が近くなり過ぎる。一時はあまりにも近いので、その系統の病気かとまで思ったほどである。

そこで少しは別のものをということで、勿論焼酎のお湯割りを飲むことも多いが、暑い時はやはり冷たい物を飲みたい。それではサワーくらいでと気安く飲み始めたのだが、これが今さらながらうまいと思うようになった。種類はさまざま試してみたが、やはり定番のレモンサワー、しかも生レモンが大のお気に入り。レモン1個をまるごと絞って飲むのはいかにも体にもよさそう(と、体よく言い訳をしているだけなのだが)と、今はこれ一筋。梅酒も好きなので、これを出す店では、梅酒サワーも飲むこともある。とにかく飲みやすいし、気持ちよく酔えるうえ、次の日に残らない。さらに値段も廉いといいことずくめ。だが、結局生ビールを飲むのに比べると、アルコール度が高いうえ、飲む量もかえって多くなったような気がしていて、あまり体のためにはならないのかな?

ちなみにサワーの種類はこんなにたくさんあるそうである。まだ飲んだことが無いものも多い。例えば抹茶サワーなど。一度すべて試してみようか?でもこれを読むと相当勇気を持たないと飲めないものもありそうだ。
2004年09月10日
先日から手をつけようとしていた、新しいWINDOWS XPのSP2のダウンロードをようやく実行した。一週間前にやろうとしたら、映像などでドライブが満杯に近かったため、ダウンロード不可と警告される。しょうがなく不急不要のファイルを削除してきれいにし、ようやく実行に漕ぎ着けた。

ところがダウンロードは意外と時間がかからなかったが、その後再起動を押したら、シャットダウンしたまま、うんともすんとも言わなくなってしまった。一時間以上待ったが動かないから、最後の手段で、強制終了で電源オフにしてから、再度立ち上げたら今度は簡単にOK。一体どうなっているのかよく分からない。

さらに今度のプログラムはウイルスなどからの攻撃にさらされないように強化されいるはずなのだが、あたかもお薦めのウィルスソフトを購入しないと安全性を保証しないように警告がまだ出る。そんなことを急に言われても急に買えないし…(>_<)、とりあえずお試し版ソフトのインストールでお茶を濁した。

しかし、時間がかかった割にはどこがレベルアップしたかは素人にはまったく分からない。これでいくらか前より安全性が増したと思って自己満足すればいいのかな?
2004年09月11日
昨日日付を一日間違えていたので修正。夜中にやるからこういうことになる。

今日は九月大歌舞伎夜の部を鑑賞。日中空いている時間にまた温浴施設に行って、体の不純物を汗で洗い流して、すっきりした。

今月は昼夜とも五世中村福助の七十年祭追善狂言であるので、芝翫の子息・孫・ひ孫揃っての出演に加えて、勘九郎、三津五郎が出演している。

通称『重の井子別れ』は、芝翫の当り役に加えて、子役の大役を孫の国生君が熱演しているので、お涙物とは分かって入るものの、やはり子別れには自然と熱いものがこみ上げてくる。父親の橋之助が珍しく腰元役で付き合い、心配そうで自分の演技どころではなかったのでないか?

『男女道成寺』は道成寺物の変形の一つ。白拍子桜子が実は狂言師左近だったという設定で花子と交互に踊る。二人に踊りも悪くは無いが、常磐津との掛け合いも名曲の流れが遮断されるようで、今一つ浮き立たない。だから途中ややだれる。鞨鼓あたりから本来の道成寺らしくなったが、それでも本来の道成寺の主題である「鐘の恨み」は希薄。

なお、狂言半ばの口上で、橋之助三男宜生君の初舞台の披露があったが、周りが口上を述べていると、他人事のようによそ見していて、お辞儀だけは一人前にやるから、観客は大爆笑。また、所化(坊さん)が祝儀に撒く手拭が珍しく三階席まで飛んできて、近くの観光客らしき外人の手に入った。もう少し右だったら、ゲット出来たのにと残念(T_T)/。

『蔦紅宇津谷峠』(全三場)は、按摩とゴマの灰の二役(最後にもう一役)早替わりで大活躍の勘九郎と三津五郎の二人が出ずっぱりの舞台。話は真面目な商人が主のため必要な百両を、按摩を殺して奪ったが、そのため強請られ、また女房も目が見えなくなるという因果応報の物語。苦悩しつつ殺人の罪を犯す主人公の三津五郎の真摯な演技と、勘九郎がまったく対照的な二役をあっという間の早替わりが見所である。また按摩の怨霊も登場し、怪談風のところもあって、面白かった。
2004年09月11日
2004年09月12日
昨日に続き、今日は九月大歌舞伎昼の部観劇。新歌舞伎の『高時』は天狗が出てきてアクロバッチックな動きが面白い。『茶壷』は滑稽な舞踊劇、三津五郎・翫雀とも息がぴったりで笑わせる。長谷川伸の有名な『一本刀土俵入』は、勘九郎が前半の取的と後半の侠客との対比がくっきりしていて、見せる。ただし、個人的には歌舞伎狂言としては不向きな気がするが…。次の舞踊とあわせると、昼の部はこくが薄い感じ。

新作の新邦楽『菊薫縁羽衣』は、今回の公演の目玉ともいうべきもの。と言っても、芝翫の父五世中村福助の七十年祭追善狂言と同時に、孫宜生の正式な初舞台の披露の演目である。舞踊だが、主は口上。今月は出演していない中村勘太郎を含め、男の内孫・外孫6人がすべて舞台に立ったという芝翫は梨園一の恵まれた孫福者。この成駒屋一門の繁栄も芝翫の穏やかな人柄の現われであろう。子息二人、婿の勘九郎揃っての豪華な舞台は、追善より新しい幼い歌舞伎役者の誕生を祝う気分で一杯。今日も肝心のご本人は挨拶しなかったが、可愛い仕草のお辞儀を繰り返して、満場から大拍手。幕間に後援者に挨拶している寛子ママを見たが、千穐楽まで緊張と心配で大変なことであろう。

終演後、用事でお会いしたお仲間の方としばしお話をした後、ホテルオークラに駆け付ける。実はドジな勘違いで高校の同期会と観劇がダブルブッキング。幹事さんに謝って、二次会から出席。久し振りの顔もあり、短い時間だったが、昔を思い出し、話が弾む。一挙に40年前に戻ったよう。毎年開催の声も多かったから、これから毎年の同期会が楽しみである。
2004年09月13日
今さらだが、この七月に亡くなった指揮者カルロス・クライバーの音楽を聴けないと思うと、だんだん寂しさが増してきて、最近個人所有のCDやDVD等を再視聴している。愛読している『レコード芸術』9月号も急遽総力特集をしていて、その生涯の軌跡やフォト&オリジナル・ジャケット・ギャラリーは資料的価値もあり、保存版になろう。

そのなかで触れられているが、78年のウィーン国立歌劇場で指揮したビゼー『カルメン』が11月に待望のDVD化でリリースがあるのは一大朗報である。さらに遅まきながら気が付いたが、ほぼ最後の演奏会に近いバイエルン国立管とのブラームスの第4番までもDVD化される!ウィーンフィルのCDが名盤の誉れ高いものだから、これはいやがうえでも期待が高まるというものである。

契約の関係で廃盤になったユニテルに残された映像は、全部復活して欲しいが、今日CDショップを覗いたら、廃盤で当分手に入れるのは望み薄と思っていた94年のウィーン国立歌劇場とのR・シュトラウス『ばらの騎士』の日本盤DVDがあるではないか!02年の発売分で、どこかの倉庫に眠っていたものなのだろうか?しかも契約期限切れなのに?などと言う屁理屈は別に、これは希少盤!あの最後の日本公演とほぼ同じものがDVDで観られるとは何とも幸せなことであるから、ついつい手が出てしまった。
2004年09月14日
何故か今日またもや大量のウィルスメール襲来。プロバイダーで削除してくれたとはいうものの、あまりにも多いので、結局念のため一通りウィルススキャンをかけたので、それで時間が潰れてしまった。

しかも、SPパックをDLしたら、常にお薦めのウィルスソフトを購入しないと安全性を保証しないように警告が常に出るから、どうも不安になるし、気分も悪い。やはりウィルスバスターを購入しなければいけないのかな?
2004年09月16日
ようやく朝晩も涼しく、またこの二日間は日中も抜けるような秋の晴天になったので、外を歩くのも楽になってきた。

さて秋の夜長、そろそろ真面目に勉強と読書に精を出さねばならないはずだが、雑用と生来の怠惰、そしてPCにかまけてなかなか進まない。読書も新刊本より旧刊本を再読している状態である。昔読み落とした点を再発見できるというメリットはあるものの、いささか手抜きのような気がしてならない。

若い方の日記を読んでいて、『源氏物語』の現代語訳の話が出ていた。自分は前にも書いたかもしれないが、與謝野訳からその魅力に取りつかれて、谷崎訳、円地訳のいずれも読んだが、原文に一番近い感覚で円地訳に馴染んできていて、折に触れて読み返すことがある。勿論、原文で読みたい願望はあるが、とても気力と古文の読解力に自信が無い。

しかし、最近はやはり最新の訳業である瀬戸内寂聴訳が、一番今の時代感覚にあっていて人気もあるようだ。自分はまだ読んだことがないから何とも言えないが、『源氏物語』の現代語訳についてこんなことを調べた方がいる。これによると、だんだん時代を経るにつれて、それでなくても大長編がますます長くなって来ているようである。やはりいにしえの物語は現代人に分かるようにするとどうしてもそうなるのか?
2004年09月17日
今日は日本のプロ野球史上で永遠に忘れられない日になるであろう。

夜遅く帰宅して、日本プロ野球組織と選手会の団体交渉が決裂して、明日からの2日間初のストライキ決行で計12試合が中止になったことを知った。テレビの記者会見を見た限りでは、オーナー側の頑なさが印象的である。合併の1年延期の拒否はある程度止むを得ないにしても、来年からの新規参入球団の受け入れも時間が無いという理由で拒否している。既に新規参入に名乗りを上げている企業が複数あるのにもかかわらずであるから、余計不可解である。ファンにすまないという発言も選手会の古田会長が苦渋を見せていたのに反して、経営者側は非常に形式的で、大臣の国会答弁のよう。

一番迷惑するのはファンだが、これでは選手会の決断を支持する声が多かったのは当然だ。さて、ストライキの後の交渉の行方は果たして?
2004年09月18日
プロ野球のストライキ決行で、巨人戦の放送を予定していた局など番組の差し替えでさぞや大変であろうと推測していたら、さすがNHK(と言っても、先般来の不祥事は感心しないが)、衛星第二でシリーズ放送された『列島縦断鉄道12000Km〜最長片道切符の旅』の総集編をやってくれた。

時間の関係でビデオ録画したので、後でゆっくり楽しむつもりである。このような番組を急遽とはいえ、ゴールデンタイムに持って来ることは普通では考えられない。民放では決して出来ない企画である。

昔から旧国鉄のいわゆる一筆巡りは、鉄道ファンにとって魅力的なものだが、個人ではなかなか実行できない。それを短時間でも映像で味わえるのは有難い。読み物では、かの鉄道紀行作家の宮脇俊三氏の『最長片道切符の旅』という名著もある。鉄道旅行に興味の無い向きにはいかにも馬鹿馬鹿しく思えるであろうが、実際に読んでみると何か修行僧の厳かな修行体験記のような気がしてくるから不思議である。紀行記としても練れた名文で、上品なユーモアもある。録画を観たら、またこの本を読んでみよう。
2004年09月19日
一日早く敬老の日を、と思い実家の母を訪ねる。大分ご無沙汰の不肖の息子である。今年79歳の母は、まだ元気で動き、寄宿している姪の世話をしている。大変であろうと思うが、一人住まいの寂しさも無く、かえって気を張って頑張っているようだ。いくらか外へ出ることが億劫らしき以外は、あまり変わりは無く、今年の猛暑も無事乗り切ったようで安心する。

この前の中高の同期会でも親の介護をしているという友もいたから、健康で動いていてもらえるだけでも何よりも有難いと思わなければいけない。
2004年09月20日
昨日実家に行った際に、また歌舞伎のビデオの整理をしたら、自宅で行方不明だったものをようやく見付ることが出来たので、一安心したが、ついでに持ち帰ったビデオを今日観てみたら、まったく記憶になかったものもあり、ビデオデッキを買った頃にはとにかく歌舞伎と名の付くものは滅多やたらに録画していたようだ。思わぬ掘り出し物もあり、また時間を見て整理に行く必要がありそうである。

だが、母から「物置にある本も少し整理して」と耳の痛い一言。我ながら整理ベタ、随分古い本も眠っているに違いない。と言って自宅に引き取るスペースも無く…(^^;。
2004年09月21日
いつもの通り仕事で外を歩いていたら、今日はやたらと汗をかく。ビルに入っても真夏ほど冷房がきいていないから、少しも涼しくならない。自分が汗かきだからしょうがないのかと思っていたら、今日も30度を越えた真夏日だったそうで、東京では68日の新記録だという。結局汗にまみれ、仕事の成果も出ず、がっくりと疲れた一日であった。

唯一の救い(?)は、待望の(こればっかりだが(^^ゞ)アルゲリッチ(P)とアバド指揮のベートーヴェン『ピアノ協奏曲第2番・3番』が発売されたことだ。行くところ可ならざるはなしの感があるアルゲリッチも、最近は息のあった仲間との室内楽やピアノ連弾が殆どで、独奏はおろか協奏曲の新譜すら出なかった。だから、これは10年振りの協奏曲の新譜CD。しかも第3番のピアノ協奏曲は初録音!

お得意の第2番もいいが、やはり第3番は待っていた甲斐のあった素晴らしさ!聴きながら興奮を覚えるほど、ばりばりと豪放に弾いているのだが、繊細さも併せ持っている演奏。やはり彼女の演奏は聞き逃せない。バックを務めるアバド指揮のマーラー・チェンバー・オーケストラも、良く音が鳴り好サポート。アルゲリッチとアバドは長年の仲、相性もとてもいいようだ。
2004年09月22日
音楽雑誌はいつも『レコード芸術』を購読しているが、今月号はあまり特集にも惹かれなかったので、1月遅れで「永遠のカルロス・クライバー」の追悼特集が掲載されていた『音楽の友』10月号の方を買った。

先月の『レコード芸術』が主にその生涯と演奏・録音を中心にしていたのに対して、こちらは世界的に親交のあったアーティストや、オーケストラ団員、マネージャー等身近にいた人たちの証言や秘蔵写真の公開もあって、2冊合せると彼の素顔が浮き彫りになる貴重な特集である。

そのなかで日本贔屓だった彼が92年、96年の2回お忍びで日本を訪れていたことが明らかになった。マネージャー役の広渡勲氏の影響もあったのか大の歌舞伎好きになった彼は、玉三郎と楽屋を訪問して、『鏡獅子』のお小姓・弥生姿の玉三郎と記念写真を残していた。

穏やかないい2ショットで、世界的な二人の芸術家の一期一会の貴重な写真である。モノクロ写真であるのが残念だが、このような写真自体残っていたことを感謝したい。これは永久保存版になろう。なお、同趣旨の書き込みは、「夢の女・玉三郎」BBSにも行っておいた。
2004年09月23日
秋のお彼岸で、お墓参り。連休もあったためか、今日はいつもより人出が少なかった印象。

プロ野球問題が球団側と選手側両者の歩み寄りにより、ようやく合意に達し二度目のストが回避された。内容的には球団側の譲歩で、当然とも言える内容。どうしてここまで大騒ぎしなくては出来なかったのか不思議だが、初のストにファン・世論が同情的だったことが大きく影響したとすれば、ストの効果もあったと思う。今後は早急に新球団の参入に向けて、話を進めて欲しい。またファンあってのプロ野球を原点にして、このストを今後の良い教訓にしてもらいたいものだ。

一方海の向こうでは、イチローが大リーグ最多安打新記録に向って、驀進中。残り10試合で10安打であれば、これは出来る!暗い話題が多いなか、これが達成されれば、また一つアメリカンドリーム(古い!?)が出来上がる。
2004年09月24日
久し振りに新宿駅に行ったら、駅前地下広場の柱がみな明るい広告塔になっている。少し見ていないだけでこの変わりよう。東京の変わり様は目まぐるしいほど急激である。

明日の土曜日には、新宿駅周辺の線路つけかえ工事のため、午後一杯埼京線や湘南新宿ラインを止めるという。これもとくに好評の湘南新宿ラインをこの秋から大増発するためのものらしい。JRとなってからの顧客指向は旧国鉄時代とは様変わりである。JRの傘下に入った東京モノレールも快速を激増させるとのこと。私鉄との競争で乗客が便利になるのなら、大歓迎である。ただ、工事の遅れがダイヤに影響を与えないように順調に終わって欲しいが。

夕方、夢玉のお仲間の方に会ってお話しをした際、美味しいマンゴープリンのお店を紹介してもらった。地元の店ながら、日中はいないから、とんと有名店は知らない。今度また行って見たくなった美味しさだった。
2004年09月26日
休日ながら、午前中にいつも通勤で使っている下車駅に向った。何のことは無い、その駅のすぐ側のカフェレストランで親戚の娘の結婚式の披露宴があったのである。またもや地元ながらそんな会場があることをはじめて知った(苦笑)。

先日の新聞にもあったように、最近は殆ど仲人を立てないそうだが、今日も仲人は無し。しかし、若い人たちなりにいろいろ演出にも工夫を凝らしていたから、和気藹々と楽しい宴だった。黒人のエンターテイナーをゲストに呼んでいたのは驚いたが、さすが歌は迫力満点。

             

さて、次はどういう披露宴に出られるのだろうか?
2004年09月27日
天気予報がはずれて、予想外の大雨にびしょ濡れになる。さすがにお彼岸を過ぎたら、急に気温も下がってきたが、こんな悪天候は願い下げである。早く抜けるような秋の晴天が見たい。

小泉改造人事が終わった。それにしても初入閣が多いうえ、小粒揃い。知っている人は殆どいない。それだけ自分が政治に無関心とも言えるが、小泉首相の後継者の名前が挙がらないのは、人材不足の証拠。昔は良い意味でも悪い意味でも、もっと大物がたくさんいたが…。

こういう言い方はやっぱり年寄り?
2004年09月28日
今日は午後から天気も回復して、秋のうろこ雲も見え、夜はちょうど満月も見ることが出来た。そう、今日は旧暦の中秋の名月にあたるから、お月見である。歴史や時代小説が大好きな割には、この旧暦には弱いが、こよみのページの親切な解説を読むと何となく理解できたような気がする。

現代人には新暦の方が感覚的にはピンと来るが、農業中心の時代には旧暦が便利だったであろうし、また季節感も豊かだったと思う。満月をめでながら、飲む酒はさぞやうまいであろう。最近の都会の住宅事情では、自宅で月見を出来る家は一体どのくらいあるのだろうか?
2004年09月30日
昨夜は無精して、寝ながら本を読んでいたら、いつのまにか寝込んでしまった(-_-)zzz。気が付いたら、午前3時前、外は台風の猛烈な雨と風。今度はうるさくてよく眠れず、結局睡眠不足に…(>_<)。

しかし台風一過は良いが、また暑くなったのには閉口した。涼しかったり、暑かったりで、体が悲鳴を上げている。

ところで、以前よく行っていた近所の回転寿司屋が最近店を閉じた。理由は簡単。大型のチェーン店との競争に負けたのである。その店は回転寿司といっても、ご主人が一手に握っていて、お喋りをしながら注文を受けていたから、昔ながらの寿司屋の雰囲気を残していた。

だが、そのチェーン店が出来てからは客は急に減ったらしい。相手が1皿100円で、味もそう変わらなければ、当然か。かくいう自分も早々にそのチェーン店に行った口だから。


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